Slurry Pumpスラリーポンプ編

異物が原因のトラブル解決による削減

硬い異物が含まれる流体を移送するポンプ

硬い研磨性の異物が含まれる場合、パッキンやメカシールの寿命は通常のアプリケーションと比較して短い場合が一般的です。通常その寿命を延ばす為に環境管理が適用されます。この環境管理にはコストが掛かることが問題であり、また適切な環境管理プランを適用しないと逆に寿命を縮めてしまう危険性もあります。

環境管理プラン32
清水によるフラッシング

異物を含む流体からシールを保護し、寿命を延長する為には通常の場合、外部から清水を注水する「環境管理32フラッシング」が適用されます。が、この方法は移送流体を稀釈してしまう問題があり、全てのアプリケーションに適用できるとは限りません。また、水の削減を強いられる今日では、水のコストも無視することができません。

環境管理プラン32 清水によるフラッシングの図

間違った環境管理の例
環境管理プラン11 吐出再循環

「環境管理プラン11 吐出再循環」も本来シールの寿命を延ばす環境管理ですが、異物を含む流体を移送するポンプの場合は逆効果になります。高圧でシール部に異物を含む流体が流れ込むとシール寿命は短くなってしまいます。ストレーナーを使用する「環境管理プラン12」や遠心分離機を使用する「環境管理プラン31」等の吐出再循環方法もありますが、維持にコストとメンテナンスの手間が掛かります。

間違った環境管理の例環境管理プラン11 吐出再循環の図

問題点

異物を含む流体によってパッキンの寿命が短く、シールやスリーブの交換にコストとメンテナンスの手間が掛かっていた。外部注水(フラッシング)によって多少寿命を延長することができたが、最近では水のコストも無視することができない。パッキン交換の際にランタンリングが抜けにくいのも悩みである。

改善の鍵

螺旋状の溝を持つブッシング「スパイラルトラック」の使用を提案致します。ブッシングに刻まれた螺旋状の溝が流体内の異物をスタフィンボックスの外に排出し、シールを効果的に保護します。フラッシングの注水量(フラッシングを行っている場合)を大幅に削減する事が可能で、コスト削減に最適です。潤滑性とシール性に優れたパッキンとセットになっており、3リングでシールすることが可能になる為、寿命を延ばすだけでなく、メンテナンスの手間とパッキンに掛かるコストを削減する事が可能です。

ライフサイクルコスト(LCC)分析の図

LCC = Cic+Cin+Ce+Co+Cm+Cs+Cenv+Cd

  • Cic = 初期投資コスト、購買価格
  • Cin = 取り付け、試運転コスト(トレーニングを含む)
  • Ce = エネルギーコスト(システム操業のコスト)
  • Co = 操業コスト(通常システム管理の労働コスト)
  • Cm = メンテナンスと補修コスト(定修)
  • Cs = ダウンタイムコスト(生産ロス)
  • Cenv = 環境コスト
  • Cd = 解体、廃棄コスト(復旧、補助サービスの廃棄)
  • フラッシングの図
  • スライラルトラックブッシング/パッキン3リングでシールが可能

問題点

異物を含む流体によってメカシール摺動面の摩耗が激しかった。パッキンと異なりメカシールの交換には機器の解体が必要な為、時間とコストが問題であった。外部注水(フラッシング)を使用したいが、移送流体を稀釈する事ができないので行っていない

改善の鍵

メカシールの場合もパッキンと同様に保護する事が可能です。現在フラッシングを行っていない場合はそのままでも寿命延長効果が期待できます。機器の解体コストを考えると、二つ割り仕様のメカシールとスパイラルトラックを採用することでより大きなコスト削減効果が得られます。